家紋からなる商標登録出願の取扱い

特許庁が「家紋からなる商標登録出願の取扱い」を商標審査便覧に追加しました。

(参考)
特許庁ウェブサイト
42.107 第4条第1項第7号 42.107.06 家紋からなる商標登録出願の取扱い
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/42_107_06.pdf

家紋の商標については、特許庁は伝統的な家紋(戦国時代の武家の家紋、神紋、社紋、寺紋、宗紋等2)を対象に審査する、とのことです。
(2 神紋、社紋、寺紋及び宗紋は、通常は家紋とは異なるものとして定義されているが、本取扱いでは便宜上家紋の一種として取り扱う)

理由は、結論だけ引用しますと、「伝統的な家紋と関係ない第三者が商標登録を受け、独占的に使用することは社会公共の利益に反し、社会の一般道徳観念に反するため適当ではない。」とのことです。

ウィキペディアによると、戦国時代は15世紀末から16世紀末にかけて戦乱が頻発した時代区分とのことです。また、家紋は平安時代(794年から1192年頃)から公家によって使われ始めたとあり、戦国時代前から使われている家紋もあるようです。

戦国時代を除いた時代の家紋等はどういう取扱いになるのでしょうか。これまで通り、識別力さえあれば第三者が商標登録を受けて独占的に使用しても構わない、となるのでしょうか。

伝統的な家紋等の線引きが非常に難しいのではないかと思いました。


家紋の商標その2

前回の記事では家紋の商標について書きましたが、家紋あるいは家紋によく似たものが多数登録されているとはつゆしらず・・・そこで家紋によく似た商標を調べてみました。

家紋をモチーフにした商標はたくさんありますので、ごく一部をご紹介します。
(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)

~~葵系~~
20161118_1_5547306(登録5547306,登録5588846,登録566995)
権利者:公益財団法人徳川ミュージアム

前回の記事の異議申立人(異議申立2016-900059)です。前回記事の商標とよく似ています。

出願継続中の商標(商願2015-073258,商願2015-095364,商願2016-028039)もあります。

~~桐系~~
20161118_2_5158364(登録5158364,登録5270491)
権利者:国立大学法人 筑波大学

20161118_3_2016-090111(商願2016-090111)
出願人:日本土地家屋調査士会連合会

20161118_4_1448043(登録1448043)
日本弁理士会も商標権を取得していました。

~~笹系~~
20161118_5_4178031(登録4178031,登録0844071)
権利者:株式会社竺仙

~~桃系~~
20161118_6_4898590(登録4898590)
権利者:株式会社桃太郎

~~枡系~~
20161118_7_3262166(登録3262166)
権利者:三井生命保険株式会社

~~瓜系~~
20161118_8_3170357(登録3170357)
権利者:有限会社元祖大村角ずしやまと
織田瓜に似ています。

~~六文銭系~~
20161118_9_5816475(登録5816475)
権利者:全国農業協同組合連合会
真田六文銭に似ています。

自分の家の家紋が「丸に違い鷹の羽」ですので、その家紋の商標があるかも調べてみました。
20161118_10_5764987(登録5764987)
権利者:有限会社吾作
家紋そのものではなく、文字と家紋との結合商標がありました。

以上のように、家紋に関する商標はたくさん出願・登録されています。

家紋によく似た商標を調べていて思ったことは、家紋そのものを主体とした構成では多少の変更があっても類似と判断される可能性が高い、ということです。

ですので、家紋あるいは家紋によく似た商標を取得したければ、いち早く出願し、権利化し、維持することが大事です。


家紋の商標

先日、水戸徳川家の家紋に似た商標が登録され、この商標登録に対して登録異議の申立てがされている、というインターネットニュースを読みました。

そこで、登録されたという商標を調べてみました。

商標出願番号は2015-018025、登録番号は商標登録第5810969号です。平成27年2月27日に出願され、平成27年12月4日に登録されました。
20161109
商標は確かに葵の家紋に似ています。
(画像は特許情報プラットフォームより引用)

指定商品又は指定役務は、
第21類  お守り,御札,護符
第33類  日本酒
第41類  映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,大神楽の上演,放送番組の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,楽器の貸与
に指定されています。

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で審査経緯を参照しますと、第4条各号、第8条1項、第4条1項11号が拒絶理由となっており、先に出願された他人の同一商標・類似商標が存在することもわかります。

商標法では、ざっくりと以下の商標は登録できないことになっています。
1.自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
2.公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
3.他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの

もし、上の商標に問題があるとすれば、公益性に反するかどうかです。

しかし、家紋に公益性があるという話は聞いたことがありません。むしろ、どの家がどの紋を家紋とするかは自由に決めることができる、という話を聞いたことがあります。

あくまで個人的な印象ですが、指定商品又は指定役務を減縮する補正があったとしても、登録は維持されるのではないかと思います。異議申立ての主張は厳しいのではないかと思います。

今後、異議申立でどのような判断が下されるのか、気になるところです。

商標登録は早い者勝ちです。商標は、特許・実用新案や意匠とは異なり、登録料を納付し続ける限り、半永久的に権利を維持できます。

たとえ、本家であったとしても、他人に権利を取得される可能性は大いにあります。他人に商標を登録されたくなかったら、いち早く出願して権利化すべきなのです。

また、他人の市場への参入を阻止するためにも、権利を持つことが大事です。