家紋からなる商標登録出願の取扱い

特許庁が「家紋からなる商標登録出願の取扱い」を商標審査便覧に追加しました。

(参考)
特許庁ウェブサイト
42.107 第4条第1項第7号 42.107.06 家紋からなる商標登録出願の取扱い
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/42_107_06.pdf

家紋の商標については、特許庁は伝統的な家紋(戦国時代の武家の家紋、神紋、社紋、寺紋、宗紋等2)を対象に審査する、とのことです。
(2 神紋、社紋、寺紋及び宗紋は、通常は家紋とは異なるものとして定義されているが、本取扱いでは便宜上家紋の一種として取り扱う)

理由は、結論だけ引用しますと、「伝統的な家紋と関係ない第三者が商標登録を受け、独占的に使用することは社会公共の利益に反し、社会の一般道徳観念に反するため適当ではない。」とのことです。

ウィキペディアによると、戦国時代は15世紀末から16世紀末にかけて戦乱が頻発した時代区分とのことです。また、家紋は平安時代(794年から1192年頃)から公家によって使われ始めたとあり、戦国時代前から使われている家紋もあるようです。

戦国時代を除いた時代の家紋等はどういう取扱いになるのでしょうか。これまで通り、識別力さえあれば第三者が商標登録を受けて独占的に使用しても構わない、となるのでしょうか。

伝統的な家紋等の線引きが非常に難しいのではないかと思いました。


商標は出願してから何日で登録可能か

商標は、特許とは異なり、出願後に審査請求しなくても順次審査されていきます。

特許庁からは、審査の順番が定期的に発表されています。

(参考)
特許庁ウェブサイト
商標登録出願に関する審査着手予定等
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/cyakusyu.htm

例えば、指定商品が食品に関する出願の場合、平成29年1月に出願されたものは、平成29年7月に着手予定となります。

大まかに、出願してから約6ヶ月で審査されると示されています。

実際には、下記の表にありますように、出願から審査官による審査結果の最初の通知が発送されるまでの期間は、年平均で4~5ヶ月程度となっております。
20170808_1
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

統計によりますと、最初の通知が登録査定の通知の場合、出願から4~5ヶ月で登録可能となっています。

一方、最初の通知が拒絶理由通知書の場合、特許庁に手続補正書や意見書を提出する等の対応を行うため、登録までさらに2ヶ月前後の時間が掛かります。

発表されている統計は年平均ですので、出願から最初の通知まで3ヶ月程度の場合もあります。登録までの期間は案件毎に異なるため、実際に処理してみないとわかりません。

ところで、他人が自己の未出願の商標を使用している場合、他人の行為を中止させることができません。

このような場合、自己の商標の早期権利化が望ましいわけですが、特許庁では商標登録出願について一定条件を満たす場合は早期審査を実施しています。

(参考)
特許庁ウェブサイト
商標早期審査・早期審理の概要
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/shkouhou.htm

2016年では、2210件の早期審査の申出があり、申出から審査官による審査結果の最初の通知が発送されるまでの期間は平均で1.8ヶ月でした。
20170808_2
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

早期審査の申出により、商標登録出願の審査期間はさらに短くなります。早期審査は条件をクリアする必要がありますが、早期権利化の有効な手段です。

なお、早期審査は出願済みの商標についても対象になっていますが、近年認められた新しいタイプの商標(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標) については早期審査の対象外です。


商標権の存続期間は何故10年なのか

商標法では、商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年を持って終了する、と規定されています。

日本ではこれが基本です。

まず、商標権の存続期間は、特許権、実用新案権、意匠権の存続期間との本質的な意味の違いがあります。

簡単に言うと、特許権等については、権利者の独占期間と技術等の解放時期とのバランスを取っている、ということです。

一方、商標権については、長年商標に蓄積された信用を保護するためにはそもそも存続期間を設定する必要がないけれど、使用されない商標が大量にあっても困るから、存続期間を10年に区切って、必要なら存続期間を何回でも更新できる、ということです。

法律の解説では、「10年」という数字の意味までは明確にされていません。

半永久使用を想定すると、一人の人間の経済活動期間は数十年ですが、企業の経済活動期間は(可能であれば)永久に存続することを考えると、「10年」の区切りは妥当なようにも思えます。

法制定時、商品・サービスのライフサイクルも10年単位で変化していたのかもしれません。

従いまして、何故10年なのかと問うてみたものの、結論としては制度がそうなっているから、としか言えなくてすみません。

なお、日本が加盟している商標の国際条約(マドリッド協定議定書や商標法条約)でも商標の存続期間は10年となっています。

さて、長らく存続期間は「10年」でしたが、平成8年から登録料を前半5年分と後半5年分とに分割納付することが可能になりました。

商標権の設定の登録時に、登録料の前半5年分を支払うと、5年後に登録料の後半分の支払いすなわち商標権を更新するか否かを選択できるようになったのです。

この制度は、短ライフサイクル製品について商標権維持の要否を権利者にチェックさせたり、登録料を安くしたりするために導入されました。

登録料が安くなるのは、前半5年分だけ商標権を維持して後半5年分は登録料を納付しない場合ですので注意が必要です。

10年分の登録料の一括納付は、「28,200円×区分数」ですが、分割の分納額は5年分が「区分数×16,400円」です。

分割納付は10年分を支払うと一括納付よりも割高ですが、最初の5年分を支払って更新しないとするならば割安です。

ですので、5年毎の権利維持の選択権を買うか、最初から10年分を一括納付するかの選択が可能になっています。

ところで、特許庁には、中小企業から登録商標を1年毎に更新できるようにして欲しいという要望もあるようです。

「1年」という期間は半永久使用を可能とする商標制度では非常に短い期間です。

ここからは個人的な考察ですが、このような要望は、対象が超短期ライフサイクル製品であることと、商標権維持のコストを安くしたいということだと思いますが、超短期ライフサイクル製品についてはそもそも特許権等も含めて権利化が必須とは思いません。

例えばペーパークラフトのような製品の場合、毎年新しいデザインやネーミング等で売られ、季節モノもあり、そもそも権利化が間に合わない。模倣の被害もあるようですが、短期間で次の製品が発売されるため、いたちごっこが続くようです。

このような超短期ライフサイクル製品について、1年間、商標を維持する意味を考えたとき、権利消滅後に商標権の存続期間における損害賠償を請求することくらいです。しかも、非常に短期間の売り上げに対しての損害賠償請求です。費用対効果を考えると、割高になるかもしれません。

しかも、現在の分割納付でさえ一括納付よりも割高です。1年更新という制度が導入されたら、1年毎の更新料は現在の分割納付に対しても非常に割高に設定されるのではないでしょうか。

権利者も特許庁も手続き処理が増え、両者ともコストが上がり、全員が疲弊します。

1年更新の願望を特許庁に訴えるよりも、現在の商標制度は10年単位あるいは5年単位で更新を認めていますので、これらの更新期間を上手く利用してビジネスするほうが得策です。


色彩のみからなる商標の登録、始まる。(続き)

「色彩のみからなる商標の登録、始まる。」の続きです。

様々な出願の中から業種毎にピックアップして紹介しています。

今回は、小売系の会社です。

イオン株式会社
20170519_イオン_商願2015-029878商願2015-029878
この色を見るとイオンが想像できます。相当浸透しているのでは。
他に2件出願しています。

株式会社カインズ
20170519_カインズ_商願2015-029909商願2015-029909

アスクル株式会社
20170519_アスクル_商願2015-030159商願2015-030159
色は、青色(プロセスカラーの組合せ:C100%,M80%,Y0%,K0%)のみからなるもの、です。

ロイヤルホームセンター株式会社
20170519_ロイヤルホームセンター_商願2015-036575商願2015-036575

京都錦市場商店街振興組合
20170519_京都錦市場_商願2015-038054商願2015-038054
錦市場のラインがこの3色の繰り返しで表現されているようです。

株式会社良品計画
20170519_良品計画_商願2015-043554商願2015-043554

株式会社ローソン
20170519_ローソン_商願2015-059866商願2015-059866
看板の色ですね。他に2件出願しています。

株式会社ビームス
20170519_株式会社ビームス_商願2015-054378商願2015-054378
オレンジといえばビームス、というのは浸透しているのではないでしょうか。

株式会社ドンキホーテホールディングス
20170519_ドンキホーテ_商願2015-065316商願2015-065316
おなじみの黒黄の縞模様です。

株式会社ピーチ・ジョン
20170519_ピーチ・ジョン_商願2015-096336商願2015-096336

各店舗は、それぞれ出願されているような象徴的な色で構成されていることが多いかと思います。

色の商標の出願はその他にも多々あります。もし余力があれば(汗)、他の業種についてもまとめてみたいと思います。


色彩のみからなる商標の登録、始まる。

平成27年(2015年)4月1日から出願が可能になった「色彩のみからなる商標」が、先月初めて登録されたとニュースになりました。

これまでに427件(平成29年4月20日現在)が出願され、2件が登録されました。

商標は、出願後、概ね半年ほどで判断結果が出ますが、色彩のみからなる商標の判断には2年掛かっています。

一つは、平成29年3月10日に登録された株式会社トンボ鉛筆の商標です。
20170420_トンボ鉛筆_登録5930334登録5930334

もう一つは、平成29年3月17日に登録された株式会社セブン-イレブン・ジャパンの商標です。
20170420_セブン-イレブン・ジャパン_登録5933289登録5933289

これらの各出願の「商標の詳細な説明」には、色彩の組合せや配色が数値等で事細かく記載されています。訴訟に発展した際には、商標の類似はどのように判断されるのか、気になるところです。

さて、商標登録の判断は特許庁にお任せするとして、出願人がどのような色彩、色彩の組み合わせ、配色に識別力があると考えて出願しているのか、非常に興味深いところです。

そこで、どんな会社がどんな色を商標として出願しているのか調べてみました。

まず、製薬系の会社です。

久光製薬株式会社
20170420_久光製薬_商願2015-029831商願2015-029831
これは「サロンパス」の色ですね。
久光製薬は、新しいタイプの商標として音商標(登録5804299)も取得しています。

大幸薬品株式会社
20170420_大幸薬品_商願2015-029858商願2015-029858
「正露丸」の色でしょうか。
他に1件出願しています。

ユースキン製薬株式会社
20170420_ユースキン製薬_商願2015-029985商願2015-029985
「ユースキン」の色でしょう。
他に4件出願しています。

株式会社コクミン
20170420_コクミン_商願2015-030024商願2015-030024
ドラッグストアの色です。
第35類を指定し、小売等役務商標として出願しています。

大塚製薬株式会社
20170420_大塚製薬_商願2015-030115商願2015-030115
商品「ポカリスエット」の色かと思います。
他に1件出願しています。

株式会社大塚製薬工場
20170420_大塚製薬工場_商願2015-03028商願2015-03028
これは「オロナインH軟膏」の色ですね。
他に2件出願しています。

大鵬薬品工業株式会社
20170420_大鵬薬品_商願2015-035615商願2015-035615
これは「ソルマック」の色かと思います。
他に1件出願しています。

全薬工業株式会社
20170420_全薬工業_商願2015-040785商願2015-040785
これは「ジキニンC」という風邪薬のパッケージの色かと思います。
他に5件出願しています。

武田薬品工業株式会社
20170420_武田薬品_商願2015-040818商願2015-040818
これは「アリナミン」の薬剤や栄養ドリンクの色かと思います。
他に、非常によく似た色で1件出願しています。

興和株式会社
20170420_興和_商願2015-048327商願2015-048327
これは胃腸薬「キャベジン」の色ですね。
他に2件出願しています。

株式会社和漢薬研究所
20170420_和漢薬_商願2015-084760商願2015-084760
これは「松寿仙」という商品のパッケージに使われているそうです。

健栄製薬株式会社
20170420_健栄製薬_商願2015-122948商願2015-122948
これは「手ピカジェル」という商品のポンプ部分の色かと思います。
他に3件出願しています。

通常、医薬品は箱で売られており、色や配色で差別化を図っている場合が多いため、箱に使用されている色の商標が多く出願されているようです。

他の会社については次回ご紹介します。

(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)


商標権の取得前にできること

ピコ太郎さんの「PPAP」が他人によって商標登録出願されたというニュースが盛んに流れています。

なので、今更ながら、他人が出願できるのか、登録されるのか、といった内容は他の方の解説に任せ、ここでは別のことに食いついてみようと思います。

その別のこととは、出願人が音楽会社に「警告を行った」という点です。

そもそも論ですが、権利を持っていない状態で警告ができるのか??

警告自体はどうぞご自由に気の済むまで、限度を越えたら返り討ちにされるかもしれませんが、といったところです。何に基づいて警告を発するかはその人の自由です。

では、産業財産権の世界では、「警告」とは何でしょうか。

特許法や商標法では「警告」という言葉が登場する制度があります。

その制度が「金銭的請求権」(特許の場合は「補償金請求権」)です。

商標の世界では、出願から権利取得までの間に商標に化体した業務上の信用が害されたら出願人の業務上の信用を補塡するために金銭的請求権を認めています。

特許の世界では、出願後1年半経過すると発明の内容が公開され、誰でも実施可能になるので、第三者に自分の発明を実施された場合に出願人の損失を塡補するために補償金請求権を認めましょう、というわけです。

出願人は、未だ権利を取得していない状態でも上記の制度を利用して第三者に「警告」することができます。

そして、一定の要件を満たせば、相手方から金銭の支払いを受けることができます。ただし、金銭的請求権は商標の設定登録後に請求可能ですので、商標権を取得できなかった場合はもちろん請求はできません。

「一定の要件を満たせば」とありますが、ここ大事です。テストに出ます(笑)。

商標の金銭的請求権が認められるためには、大まかに次の要件を満たす必要があります。
(1)出願後、出願の内容を記載した書面を提示して警告をしたこと
(2)警告を受けた者が警告後商標権の設定登録の前に指定商品等について商標を使用したこと
(3)警告を受けた者の商標の使用により出願人に業務上の損失が発生したこと

「PPAP」の件では、(3)の「業務上の損失」が発生していないことが明らかですので、仮に出願人が「PPAP」について商標権を取得したとしても、金銭的請求権は発生しないでしょう。

なので、金銭的請求権の要件の観点からは、出願人の行動は意味がない、と見えます。まあ、出願人本人は金銭を受け取る算段を何か考えているのでしょうけど。

ということで、出願人が権利取得までの間に損失が発生する事態が生じても、泣き寝入りせずにその損失を取り戻せる制度が備わっていますよ、ということです。

逆に、警告を受けたとしても、その警告が正当なものであるのかをしっかり精査すれば怖くないですよ、ということです。

制度としては、正当な権利あっての「警告」です。

(参考その1)
商願2016-108551(出願日2016/10/05) 出願人:ベストライセンス株式会社
商願2016-112676(出願日2016/10/14) 出願人:エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社
商願2016-128344(出願日2016/11/15) 出願人:ベストライセンス株式会社
商願2016-134012(出願日2016/11/28)出願人:ベストライセンス株式会社

(参考その2)
自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)
特許庁ウェブサイト
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm

 


家紋の商標その2

前回の記事では家紋の商標について書きましたが、家紋あるいは家紋によく似たものが多数登録されているとはつゆしらず・・・そこで家紋によく似た商標を調べてみました。

家紋をモチーフにした商標はたくさんありますので、ごく一部をご紹介します。
(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)

~~葵系~~
20161118_1_5547306(登録5547306,登録5588846,登録566995)
権利者:公益財団法人徳川ミュージアム

前回の記事の異議申立人(異議申立2016-900059)です。前回記事の商標とよく似ています。

出願継続中の商標(商願2015-073258,商願2015-095364,商願2016-028039)もあります。

~~桐系~~
20161118_2_5158364(登録5158364,登録5270491)
権利者:国立大学法人 筑波大学

20161118_3_2016-090111(商願2016-090111)
出願人:日本土地家屋調査士会連合会

20161118_4_1448043(登録1448043)
日本弁理士会も商標権を取得していました。

~~笹系~~
20161118_5_4178031(登録4178031,登録0844071)
権利者:株式会社竺仙

~~桃系~~
20161118_6_4898590(登録4898590)
権利者:株式会社桃太郎

~~枡系~~
20161118_7_3262166(登録3262166)
権利者:三井生命保険株式会社

~~瓜系~~
20161118_8_3170357(登録3170357)
権利者:有限会社元祖大村角ずしやまと
織田瓜に似ています。

~~六文銭系~~
20161118_9_5816475(登録5816475)
権利者:全国農業協同組合連合会
真田六文銭に似ています。

自分の家の家紋が「丸に違い鷹の羽」ですので、その家紋の商標があるかも調べてみました。
20161118_10_5764987(登録5764987)
権利者:有限会社吾作
家紋そのものではなく、文字と家紋との結合商標がありました。

以上のように、家紋に関する商標はたくさん出願・登録されています。

家紋によく似た商標を調べていて思ったことは、家紋そのものを主体とした構成では多少の変更があっても類似と判断される可能性が高い、ということです。

ですので、家紋あるいは家紋によく似た商標を取得したければ、いち早く出願し、権利化し、維持することが大事です。


家紋の商標

先日、水戸徳川家の家紋に似た商標が登録され、この商標登録に対して登録異議の申立てがされている、というインターネットニュースを読みました。

そこで、登録されたという商標を調べてみました。

商標出願番号は2015-018025、登録番号は商標登録第5810969号です。平成27年2月27日に出願され、平成27年12月4日に登録されました。
20161109
商標は確かに葵の家紋に似ています。
(画像は特許情報プラットフォームより引用)

指定商品又は指定役務は、
第21類  お守り,御札,護符
第33類  日本酒
第41類  映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,大神楽の上演,放送番組の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,楽器の貸与
に指定されています。

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で審査経緯を参照しますと、第4条各号、第8条1項、第4条1項11号が拒絶理由となっており、先に出願された他人の同一商標・類似商標が存在することもわかります。

商標法では、ざっくりと以下の商標は登録できないことになっています。
1.自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
2.公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
3.他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの

もし、上の商標に問題があるとすれば、公益性に反するかどうかです。

しかし、家紋に公益性があるという話は聞いたことがありません。むしろ、どの家がどの紋を家紋とするかは自由に決めることができる、という話を聞いたことがあります。

あくまで個人的な印象ですが、指定商品又は指定役務を減縮する補正があったとしても、登録は維持されるのではないかと思います。異議申立ての主張は厳しいのではないかと思います。

今後、異議申立でどのような判断が下されるのか、気になるところです。

商標登録は早い者勝ちです。商標は、特許・実用新案や意匠とは異なり、登録料を納付し続ける限り、半永久的に権利を維持できます。

たとえ、本家であったとしても、他人に権利を取得される可能性は大いにあります。他人に商標を登録されたくなかったら、いち早く出願して権利化すべきなのです。

また、他人の市場への参入を阻止するためにも、権利を持つことが大事です。


商標法の標準文字制度

商標法には、「標準文字」で商標登録可能な制度があります。

「標準文字制度」とは、
「登録を求める対象としての商標が文字のみにより構成される場合において、出願人が特別の態様について権利要求をしないときは、出願人の意思表示に基づき、商標登録を受けようとする商標を願書に記載するだけで、特許庁長官があらかじめ定めた一定の文字書体(標準文字)によるものをその商標の表示態様として公表し及び登録する制度」
です。

簡単に説明しますと、商標が文字のみから構成される場合、特許庁長官があらかじめ定めた文字書体によって商標を登録する制度です。平成8年改正商標法(平成9年4月1日施行)において採用されました。

願書に商標を記載しますので、特許庁としては事務処理の効率化が図られ、出願人としては手続負担の軽減が図られる、ということで、手続き的に両者にメリットがありますよ、という制度です。

この標準文字につきまして、平成28年9月23日に、新しい標準文字が指定され、「特許庁公報(公示号9)(平成28年9月23日発行)」に掲載されました。当該指定は、平成29年1月1日から適用されます。

(参考)
特許庁ウェブサイト
商標法第5条第3項に規定する標準文字の指定について (PDF:3,607KB)
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/files/youhyou_5_3/00.pdf
(別ウィンドウが開きます。)

出願の際には、願書に「【標準文字】」の記載が必要になります。

ただし、商標審査基準では、標準文字による出願とは認められない商標の記載例として
(イ) 図形のみの商標、図形と文字の結合商標
(ロ) 指定文字以外の文字を含む商標
(ハ) 文字数の制限30文字を超える文字数(スペースも文字数に加える。) からなる商標
(ニ) 縦書きの商標、2段以上の構成からなる商標
(ホ) ポイントの異なる文字を含む商標
(ヘ) 色彩を付した商標
(ト) 文字の一部が図形的に、又は異なる書体で記載されている商標
(チ) 花文字等特殊文字、草書体等特殊書体等で記載された商標
(リ) 上記(イ)ないし(チ)以外のものであって、記載文字が容易に特定できない商標
が挙げられていますので、注意が必要です。

標準文字を利用して出願・登録された商標は数多くありますが、その中には、

東京ディズニーランド(登録5460985)
東京ディズニーシー(登録5460986)
東京ディズニーリゾート(登録5460987)

もあります。

これらは、いずれも標準文字として平成18年(2006)7月31日に同日出願され、平成24年(2012)1月6日に同日に登録されています。

ライセンス管理を行っているDisney Enterprises, Inc.(ディズニー・エンタープライゼズ・インク)が権利者として登録されています。

また、標準文字制度を利用して登録された商標の権利範囲についても注意が必要です。

文字で商標登録されますが、商標を示した文字が全て権利範囲に含まれるとは限りません。図形の商標には権利範囲が及びません

実際に使用している文字が図形(ロゴ)としてデザインされたものであれば、まずは図形商標として商標登録を行うべきです。

図形商標の権利化によって自分の商標の使用を確保するとともに、他人の同一または類似の商標を排除できます。

さらに、標準文字制度を利用して文字だけの商標登録を行うことで、文字だけで構成された同一または類似の商標の便乗使用を排除できます。

ただし、文字だけが非類似の図形商標として使用された場合には、商標が同一または類似していない可能性があり、排除は難しいかもしれません。

標準文字制度は完全に万能ではありませんが、とりあえず文字だけで商標登録を行う場合など、メリットの方が大きい制度です。


特許庁に支払う商標に関する手数料一覧

今回は、出願人あるいは商標権者が特許庁に支払う、商標に関する手数料をご説明します(2016年4月1日現在)。

1.出願料
・商標登録出願 3,400円+(区分数×8,600円)
・防護標章登録出願又は防護標章登録に基づく権利の存続期間更新登録出願 6,800円+(区分数×17,200円)
・重複登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録出願 12,000円

2.審判関係手数料
・審判(再審)請求 15,000円+(区分数×40,000円)
・商標(防護標章)登録異議申立 3,000円+(区分数×8,000円)
・判定請求 40,000円
・審判又は再審への当事者の参加申請 55,000円
・審判又は再審への補助参加申請 16,500円
・商標(防護標章)登録異議申立の審理への参加申請 3,300円

3.登録料
・商標登録料 区分数×28,200円
・分納額(前期・後期支払分) 区分数×16,400円
・更新登録申請 区分数×38,800円
・分納額(前期・後期支払分) 区分数×22,600円
・商標権の分割申請 30,000円
・防護標章登録料 区分数×28,200円
・防護標章更新登録料 区分数×33,400円

分割申請の30,000円は変化しませんでしたが、その他の登録料は改正前に比べて総じて安くなりました。

例えば、
商標登録料は、(区分数×37,600円)→(区分数×28,200円)
更新登録申請は、(区分数×48,500円)→(区分数×38,800円)
です。

以前よりも商標権の維持費が安くなりました。

(注意;上記の料金は特許庁に支払う手数料です。特許事務所へのご依頼の際には別途費用が掛かります。)


新しい商標の登録状況

2015年4月から新しい商標として、音商標、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、位置商標の出願が可能になりました。

特許情報プラットフォームでも新しい商標の検索が可能になっています。

そこで、新しい商標の出願が可能になった2015年4月1日に出願された商標登録出願の出願数と2016年8月12日現在の登録数の状況を調べてみました。

全体では、473件が2015年4月1日に出願され、74件が登録されました。

内訳を見てみましょう。

◆◆◆音商標◆◆◆
出願数 147件 → 登録数 34件
登録例;フジッコ株式会社(登録5805620)
登録5805620

特許情報プラットフォームでは、「音声再生」ボタンを押すと、音声を再生できます。

音商標は、テレビCMでおなじみのメロディーがたくさん出願されています。

◆◆◆動き商標◆◆◆
出願数 32件 → 登録数 29件
登録例;菊正宗酒造株式会社(登録5804568)
JPT_005804568_000001 JPT_005804568_000002 JPT_005804568_000003 JPT_005804568_000004 JPT_005804568_000005 JPT_005804568_000006

風呂敷が開いていくおなじみの動きですね!

出願数に対する登録数の多さは動きの商標が一番でした。商標法3条、4条をクリアしやすいのかもしれません。

◆◆◆ホログラム商標◆◆◆
出願数 3件 → 登録数 2件
登録例;三井住友カード株式会社(登録5804315)
JPT_005804315_000001 JPT_005804315_000002

見る角度によって文字の色が変化します。

最も出願数が少なかったのが、ホログラム商標でした。確かに、ホログラムが商品(サービス)を識別するというのは中々イメージできません。

◆◆◆色彩のみからなる商標◆◆◆
出願数 189件 → 登録数 0件
出願例;株式会社トンボ鉛筆(商願2015-029914)
2015-029914

色彩のみからなる商標は、未だに1件も登録されていません。その色を見ただけで、どの会社の何の商品(サービス)であるかを認識できるのか、難しいですね。

単色だけでは識別はかなり難しいように思います。登録の前例もありませんので、何とも言えません。

◆◆◆位置商標◆◆◆
出願数 102件 → 登録数 9件
登録例;株式会社エドウイン(登録5807881)
5807881_1 5807881_2

色彩のみからなる商標と同じく、位置だけで商品(サービス)を識別するのは困難ですね。

位置商標は全く登録されていないわけではありませんので、色彩のみからなる商標よりも登録の可能性は高いです。

以上、いかがでしたか。

2016年8月12日現在、新しいタイプの出願は全体で1,334件の出願があり、93件が登録されています。

今後は、拒絶査定不服審判の審決例、審決取消訴訟や侵害訴訟等の裁判例が出てくるのではないかと思います。

審決例や裁判例の登場によって出願の状況も変わってくるのかもしれません。

(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)


トイレのお医者さん

インターネットニュースを眺めていたところ、「公衆トイレ命名権0円、その対価は… 名古屋テレビ塔下」という記事を見かけました。

愛知県春日井市のトイレ清掃会社「アメニティ尾張」が、名古屋テレビ塔下の公衆トイレのネーミングライツ(命名権)を獲得した、というものです。

商標の文字だけを見ると、サービスの内容をそのまま表したような気がしないでもない・・・これで登録されるのかな・・・気になって調べてみました。

本件は、平成22年(2010)8月5日に出願され、拒絶理由は無く、平成22年(2010)12月24日に登録されています。

5379158(登録5379158)
(画像は特許情報プラットフォームより引用)

記事では文字商標という印象を受けましたが、実際は、「トイレのお医者さん」という二段の文字列、聴診器ような絵、洋式トイレの絵、「環境重視型トイレ再生化診断システム」という二段の文字列から構成された結合商標でした。

会社の商号が「トイレのお医者さん」ですので、商標は商号を含んで構成されています。

ネーミングライツの運用が始まったときには、名古屋テレビ塔の近くで上記の商標を見かけることがあるかもしれません。

ところで、特許庁商標審査基準では、「商標の類否の判断は、外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない」とされています。

(参考)
特許庁商標審査基準(改訂第12版)、十、第4条1項11号
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyou_kijun/20_4-1-11.pdf
(別ウィンドが開きます。)

結合商標の同一・類似は、原則、結合商標の全体で判断されますが、例外的に、結合商標から抽出された要部が判断要素になる場合があります。

具体的には上記の審査基準の「6.」を参考にして頂くとして、ここでは、結合商標の類否判断で引用される有名な判例のうち、「類似」と判断された事例と、「非類似」と判断された事例とを一つずつ簡単にご紹介します。

●「類似」と判断された事例;リラ宝塚事件
本件商標
2016071901

引用商標
2016071902

裁判所は、
右リラの図形と「宝塚」なる文字とはそれらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない
として、「類似」と判断しています。

(参考)
最高裁昭和37年(オ)第953号
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/833/053833_hanrei.pdf
(別ウィンドが開きます。)

●「非類似」と判断された事例;SEIKO EYE事件
本件商標
2016071903

引用商標
2016071904

裁判所は、
「SEIKO」の文字と「EYE」の文字の結合から成る審決引用商標が指定商品である眼鏡に使用された場合には、「SEIKO」の部分が取引者、需要者に対して商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を与えるから、それとの対比において、眼鏡と密接に関連しかつ一般的、普遍的な文字である「EYE」の部分のみからは、具体的取引の実情においてこれが出所の識別標識として使用されている等の特段の事情が認められない限り、出所の識別標識としての称呼、観念は生じず、「SEIKOEYE」全体として若しくは「SEIKO」の部分としてのみ称呼、観念が生じるというべきである。
として、「非類似」と判断しています。

(参考)
最高裁平成3年(行ツ)第103号
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/782/052782_hanrei.pdf
(別ウィンドが開きます。)

商標の類否判断は、ほとんどがケースバイケースですが、時代に応じて判断に傾向があります。

従いまして、結合商標の類否判断は審査基準の大原則を踏まえつつ、近年の裁判所の判断を参考にして、個別に判断していくことになります。

 


電子情報財は商品かサービスか

商標法に登場する「商品」とは、商取引の目的たりうべき物、特に動産、を指します。「役務」すなわちサービスとは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的たりうべきもの、を指します。

車や雑誌、スマートフォンや食品等は、実際に目に見える動産です。

プログラムや電子出版物等の電子情報財は、電子計算機で取扱い可能なものですが、無体物です。電子計算機が広く普及した現在では、商品の概念が変化してきており、無体物であっても商取引の対象になる場合は商品として扱うことになっています。

電子情報財の全てが商品に該当するわけではありません。商品の要件として流通性も求められています。

電子情報財が流通する場合とは、電子情報財がダウンロードされて顧客の記憶媒体に記憶され、継続して管理・支配される場合です。

一方、電子情報財の提供方法はダウンロードに限られず、ASP型で電子情報財の機能を提供する場合や、一般的なストリーミングの場合等があります。電子情報財の機能が提供される場合は電子情報財自体が流通しているわけではありません。

国際的には、電子情報財に関して商品とサービスとの区別は「ダウンロード可能であるか否か」という基準が用いられています。

従いまして、電子情報財についての商品とサービスとの区別は「ダウンロード可能であれば商品とし、保存できないような形で電子情報財を提供する場合はサービス」と捉えられます。

商品は例えば第9類の商品、役務は例えば第42類の役務として商標登録出願することになります。

(参考)
類似商品・役務審査基準〔国際分類第10-2016版対応〕
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10-2016.htm
(別ウィンドウが開きます)

 


地域団体商標制度と夕張メロン

平成18年からスタートした地域団体商標制度。

商標権の存続期間は登録日から10年ですので、制度が始まった初期に登録された商標はそろそろ最初の更新の時期が迫っています。

地域団体商標制度は、地域の産品等について事業者の信用の維持を図り、地域ブランドを保護することによって、産業競争力の強化と地域経済の活性化のために、登録要件を緩和する制度です。

通常、地域ブランドは、地域名と商品名とを組み合わせたものが主流ですが、このような商標は識別力を有しないとして商標登録を受けることができませんでした。

しかし、地域団体商標制度がスタートしたことによって、出願主体が事業協同組合である等の所定の登録要件を満たせば、識別力を有しないとされる商標についても登録を受けられるようになりました。

愛知県では、最近登録された地域団体商標として「一宮モーニング(登録5825571)」があります。

(参考)
特許庁ホームページ、地域団体商標登録案件紹介、「一宮モーニング」
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/tourokushoukai/bunrui/pdf/23-015-5825571.pdf
(別ウィンドが開きます。)

ここで、「夕張」という地域名と「メロン」という商品名で構成された「夕張メロン」は、実は地域団体商標ではありません。

一番最初の出願は昭和48年10月5日にされ、昭和54年5月31日に登録されました。地域団体商標制度が始まるよりもかなり前です。

1379023(登録1379023)

1379024(登録1379024)

2591067(登録2591067)

(画像は特許情報プラットフォームより引用)

地域ブランドを保護しようとする動きは地域団体商標制度が始まる前から始まっていましたが、文字商標としては先述の通り識別力を有しませんので、図形商標として出願するしかなかったのです。

図形商標は、文字部分が同一で図形部分が異なる商標です。図形部分が異なれば商標非類似になりやすく、他人による文字部分の便乗使用を排除することはできませんでした。

現在は地域団体商標制度によって文字部分のみでの登録が可能ですので、文字部分の便乗使用を排除しやすくなっています。

平成28年2月16日の時点で特許庁から発表された地域団体商標の登録件数は599件です。

これからのシーズン、各地に旅行に行かれる方も多いかと思います。旅先で多くの特産品を目にする機会があったときには、地域団体商標を探してみてはいかがでしょうか。

(参考)
特許庁ホームページ、地域団体商標登録案件紹介
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/t_dantai_syouhyou_tourokuannai.html
(別ウィンドが開きます。)

 


商標審査基準の改訂

先日の平成28年4月1日から商標登録出願におきまして改訂第12版の商標審査基準が適用されます。

(参考)
商標審査基準〔改訂第12版〕について(別ウィンドウが開きます)
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/12th_kaitei_h28.htm

改正ポイントの中で興味深い点の一つとしましては、標語の取扱いです。

これまでは、「標語(例えば、キャッチフレーズ)は、原則として、本号の規定に該当するものとする」(注;「本号」とは商標法第3条1項6号です)と規定され、標語は識別力のないものとして拒絶されてきました。自分もそのように勉強しました。

それが、今回、以下のように改訂されました。

2.指定商品若しくは指定役務の宣伝広告、又は指定商品若しくは指定役務との直接的な関連性は弱いものの企業理念・経営方針等を表示する標章のみからなる商標について

(1)  出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。
出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等としてのみならず、造語等としても認識できる場合には、本号に該当しないと判断する。

(2)  出願商標が、その商品又は役務の宣伝広告としてのみ認識されるか否かは、全体から生じる観念と指定商品又は指定役務との関連性、指定商品又は指定役務の取引の実情、商標の構成及び態様等を総合的に勘案して判断する。

(ア)  商品又は役務の宣伝広告を表示したものとしてのみ認識させる事情
(例)
①  指定商品又は指定役務の説明を表すこと
②  指定商品又は指定役務の特性や優位性を表すこと
③  指定商品又は指定役務の品質、特徴を簡潔に表すこと
④  商品又は役務の宣伝広告に一般的に使用される語句からなること(ただし、指定商品又は指定役務の宣伝広告に実際に使用されている例があることは要しない)

(イ)  商品又は役務の宣伝広告以外を認識させる事情
(例)
①  指定商品又は指定役務との関係で直接的、具体的な意味合いが認められないこと
②  出願人が出願商標を一定期間自他商品・役務識別標識として使用しているのに対し、第三者が出願商標と同一又は類似の語句を宣伝広告として使用していないこと

(3)  出願商標が、企業理念・経営方針等としてのみ認識されるか否かは、全体から生ずる観念、取引の実情、全体の構成及び態様等を総合的に勘案して判断する。
(ア)  企業理念・経営方針等としてのみ認識させる事情
(例)
①  企業の特性や優位性を記述すること
②  企業理念・経営方針等を表す際に一般的に使用される語句で記述していること
(イ)  企業理念・経営方針等以外を認識させる事情
(例)
①  出願人が出願商標を一定期間自他商品・役務識別標識として使用しているのに対し、第三者が出願商標と同一又は類似の語句を企業理念・経営方針等を表すものとして使用していないこと

もちろん、上記の審査基準にあてはまるものは拒絶されますが、今後は、上記の審査基準を考慮すれば、キャッチフレーズやスローガンの登録が容易になるかもしれません。