「平成」を含んだ商標はいつから取得可能になるか

現在、商標が現元号として認識される場合、商標を登録することはできません。これは、商標審査基準に明記されています。

(参考)特許庁ウェブサイト 商標審査基準 第1 第3条第1項(商標登録の要件)
八 第3条第1項第6号(前号までのほか、識別力のないもの)
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyou_kijun/10_3-1-6.pdf

以下の商標は現元号の「平成」を含んでいますが、その他の文字や図形が商標の要部になっており、商標が現元号として認識されないので、登録されています。

(登録第2687542号)

(登録第4278032号)

(登録第5416152号)

(商標の画像は特許情報プラットフォームより引用)

Google検索で「平成 会社」と検索しますと、「平成」そのもの、あるいは「平成」を含んだ会社名が多数ヒットします。「平成」を含んだ会社名や商品名は既に世の中に数多くあるものの、それは誰もが登録できなかったからでもあります。

しかし、天皇陛下の退位が2019年4月30日に決定し、この日をもって平成の世は終了します。2019年5月1日から新元号がスタートしますと、「平成」は旧元号になります。

また、商標審査基準では、「本項に該当するか否かの判断時期は、査定時とする。」と規定されています。つまり、査定時の2019年5月1日に「平成」が旧元号になっていれば良いことになります。

従いまして、2019年5月1日から「平成」のみならず、「平成」を含む商標の登録が可能になります。およそ、1年後です。

特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉によりますと、最初の通知が登録査定の通知の場合、出願から4~5ヶ月で登録可能となっています。

最先の登録可能日である2019年5月1日以降の登録査定を目指して、「平成」を含んだ商標を商標登録出願することを考えている企業もあると思われます。

逆に考えますと、譲渡目的で先取り的に商標権を取得することを目論んでいる者もいると思われます。

今まで「平成」を含んだ商標を使用できていたのに、他人に「平成」を含んだ商標の権利を取得されることで、使用ができなくなる、という事態も起こり得ます。

但し、他人に「平成」を含んだ商標の権利を取得されてしまうと、本当に使用できなくなるのか、というと必ずしもそうではありません。

商標法では、商標権を取得した者よりも前にその商標を使用していた者を保護するために、一定の要件を満たすことを条件に、「先使用による商標の使用をする権利」を設けています。

従いまして、「平成」を含む商標を使用している者が気をつけるべき点は、
(1)自分の商標の使用を継続するために、先使用を証明する客観的資料を用意しておくこと(事業継続の維持)
(2)他人の商標の使用を排除するために、自ら商標権を取得すること(参入障壁を作る)
です。

まず、重要なことは、事業の継続を維持することです。すなわち、自分の商標の使用を確保することです。先使用を証明する客観的資料で大事なことは、いつから商標を使用しているか、商標の表示方法、自分の商標の認知度、などの資料を確保しておくことです。

そして、その資料は、客観的に証明できることが望ましいです。特に、「日付」の証明については、何月何日の広告の紙媒体、何月何日のブログのダウンロードデータ、など、偽物や改ざんでないことがわかる資料を確保しておくことが大事です。

次に、後続の参入を阻止することです。これまで継続的に使用してきた者は先使用による権利によって使用の継続が可能ですが、新規参入までも認める必要はありません。むしろ、商標権を取得しておかないと、後続の使用を差し止めることはできませんし、損害賠償を請求することもできません。第三者の商標権取得によって自分の商標の使用が脅かされては事業も安定しません。

あと1年ほどで、「平成」を含んだ商標を独占できる時代が来ます。それまでに、可能な限り、準備しておくことをお勧めします。

なお、現時点では、特許庁から「平成」を含んだ商標の取扱いについての発表はありません。今後、何らかの発表があるかもしれませんので、注意が必要です。