メッセナゴヤ2017

先日、ポートメッセなごやで開催されたメッセナゴヤ2017の次世代自動車フォーラム2017に行ってきました。
20171115_1
講演内容は、燃料電池自動車と予防安全技術についてでした。来年も興味のあるテーマがあれば参加したいと思います。

さて、自動車産業の未来は、様々なところで客観的あるいは主観的に語られる永遠のテーマですが、世界の自動車市場はどのようになっているのでしょうか。

近年の自動車の市場はアジアが非常に伸びています。特に、中国での自動車販売が伸びた結果であると考えられます。
20171115_2
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈本編〉)

また、自動車の世界市場規模は今後も伸びていくと考えられています。
20171115_3
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈本編〉)

その一つの要因は、IoT(Internet of Things)技術、ビッグデータ、AIが関連する第四次産業革命であると考えられます。自動車に関するIoT関連技術の特許出願は年々増加しています。
20171115_4
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈本編〉)

技術は積み重なって発展していくことを考えると、自動車に関するIoT関連技術は今後も伸びていくはずです。
20171115_5
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈本編〉)

自動車は、インターネットに繋がっていて当たり前、ビッグデータを活用したナビゲーションが当たり前、AIが判断する自動運転が当たり前というように、現在とは全く違う乗り物になっていくと、自分は考えています。

 


モノグラム商標の読み方

2つの文字を組み合わせて図案化したものを「モノグラム」と呼びます。

ルイ・ヴィトンのモノグラム商標がよく知られています。
20171030_1419883(登録第1419883号)

商標が似ているか似ていないかの類否は、外観・称呼・観点の三点観察を基本とします。三点観察の中の称呼は「商標の読み」です。

例えば犬の図形のように、図は明らかに犬を示していたとしても、図の読みができない場合、「称呼が生じない」となります。

では、「V」と「L」を組み合わせたモノグラム商標はどのように読むのでしょうか。

過去の裁判(平成3年(行ケ)91)では、
「複数のローマ字をモノグラム化した構成からは特定の観念を生じることはないとしても、モノグラムとは文字の組み合わせであるから、文字に称呼がある以上、当該商標が複数のローマ字をモノグラム化した構成からなることが一見して明らかな場合にまで、一切称呼が生じないと解することは相当でない。」
と判示しています。

また、この裁判では、上のモノグラム商標を『ヴィーエル』、『ヴイエル』、『ブイエル』、『エルヴィー』、『エルヴイ』、『エルブイ』の称呼が生ずる、と判示しています。

つまり、読める文字で構成されている以上、モノグラム商標は読める、というわけです。

では、下記のモノグラム商標はどのように読むのでしょうか。
20171030_5159867(登録第5159867号)

審決(不服2007-30332)では、
「本願商標は、(略)、「S」の文字の右やや上方に小さく表された「3」の数字は、一般に、乗法における「3乗」と呼ばれる乗数であって、その存在が意味するところは小さくないから、本願商標の構成においてもその存在を無視すべきではなく、かつ、該「3」の数字部分を捨象して観察すべき格別の理由も見出し難いので、本願商標は、かかる構成全体をもって、自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであり、特定の称呼及び観念は生じないものといわざるを得ない。」
と判断されています。

つまり、読める文字で構成されていても、特定の称呼は生じない、というわけです。

モノグラム商標は読めたり読めなかったりするわけですが、文字の配置を工夫して、特定の称呼を生じさせないようにすることで、出願の拒絶や商標の類似を回避できる可能性があるということです。

(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)


音楽的要素のみからなる音商標の登録

平成29年10月2日現在、音商標は172件の登録がありますが、そのほとんどが歌詞付きの音商標です。

例えば、
20171006_5969114(登録第5969114号)
20171006_5938552(登録第5938552号)
などです。(画像は特許情報プラットフォームより引用)

音商標は特許庁のJ-PlatPatで商標公報を開くと再生できます。

先日、特許庁から「音楽的要素のみからなる音商標について初の登録を行いました」なる情報が発表されました。

(参考)
特許庁ウェブサイト
https://www.jpo.go.jp/seido/s_shouhyou/otoshouhyou-hatsutouroku.htm

音楽的要素とは、メロディー、ハーモニー、リズム又はテンポ、音色等をいう、とあります。

つまり、音楽的要素のみからなる音商標とは、歌詞等が付いていない音のみで構成された商標です。

音楽的要素のみからなる音商標として、大幸薬品株式会社、インテル・コーポレーション、BMWの3件の商標が登録されました。

これらは、CM等で流れている音です。CMで音を流す行為や店舗で音を流す行為は、商標の使用の一形態です。

音の商標の出願が可能になってから2年半経っています。歌詞付きの音の商標は登録されてきたものの、歌詞なしの音の商標の審査が続いていたということは、特許庁は歌詞無しの音の商標は歌詞付きの音の商標よりも識別力が弱いと考え、慎重に審査していたからでしょうか。

音は人の生活に溶け込んでおり、繰り返し流れ、人々の意識・無意識に植え付けられていきます。特徴がある(識別力がある)音は、発音時間に関わらず、商品あるいはサービスを十分区別し得るものになると思います。

以前は、テレビや店舗等で音が流れるような状況が多かったですが、現代ではパソコンやスマートフォン等のデバイスでも頻繁に音が流れるようになりました。

そう考えますと、音商標は消費者等への浸透力が強い標識として十分機能するものと考えられます。経験上、店舗で音商標が繰り返し流れると、消費者は知らず知らずのうちに記憶してしまうものです。

音の商標が権利として認められる時代になり、音商標の重要性が今後さらに高まっていくと思われます。


aiwaブランドが復活する!

「aiwa」というブランドをご存じでしょうか。90年代にラジカセやテレビデオ等のAV機器で人気でした。

aiwaブランドを持つアイワ株式会社は2002年にソニー株式会社に吸収合併され、2008年には生産が終了したそうです。

製品は市場から消えましたが、「aiwa」の商標はソニー株式会社が保有し続けていたようです。権利は維持されているが使用されていない、いわゆる休眠商標になっていたようです。

その「aiwa」の商標権が、ソニー株式会社から「アイワ株式会社」に譲渡されました。「アイワ株式会社」は、秋田県に本社を持つ「十和田オーディオ株式会社」が新たに作った会社です。

J-PlatPatで「アイワ株式会社」の商標を検索してみますと、22件ヒットしました。

20170926_2643462(登録第2643462号)
20170926_4690144(登録第4690144号)
(画像は特許情報プラットフォームより引用)

ソニー株式会社が「aiwa」の商標権を消滅させなかった理由はわかりませんが、「aiwa」を消滅させなかったからこそ、「aiwa」が市場に戻ってくることができました。

さて、他人の商標を使いたい場合の対応策として、おおまかに、
(1)ライセンス契約(使用権の設定、移転)
(2)商標権の譲渡(権利の移転)
(3)他人の商標権を取り消して自ら出願する
があります。

下の統計にありますように、2016年では、商標権の譲渡(権利の移転)は2万件以上、ライセンス契約(使用権の設定、移転)は200件程度ありました。有償・無償の区別まではわかりません。
20170926_3
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

2万件の商標権の譲渡を多いとみるか少ないとみるか、です。

比較対象を(3)としますと、2016年の取消審判は969件、平均審理期間は6.4ヶ月でした。

仮に商標を取り消すことができて、出願し直した場合、審査期間が6ヶ月程度になります。他人の商標を取り消して出願し直すと、費用と時間がかなり掛かります。

また、取消審判は、審判請求するための条件を満たす必要があり、権利者に正当な理由がある場合などは取り消すことはできません。

一方、ライセンス契約や商標権の譲渡は、交渉次第ですが、比較的短期間で合意可能です。費用に関しては交渉内容次第でしょうか。もちろん、交渉が決裂する場合もあるかと思います。

他人の商標権を取り消すよりは、権利の移転のほうが商標権の流通性が断然高い、ということです。

ブランドの再構築か、それとも新構築になるのか。今後発売される「aiwa」の製品が気になるところです。


一発特許査定は幸運なことなのか、それとも不幸なことなのか

一発特許査定とは、特許出願後、審査請求を行い、審査官による審査が行われ、拒絶の理由が一度も通知されることなく、特許査定がなされることです。

特許出願のほとんどは何かしらの理由を持って拒絶すべきものと判断されますが、特許出願の中には、拒絶の理由が無く、一発特許査定になるものもあります。

一発特許査定になるのは拒絶の理由が存在しないからですが、一度も拒絶理由が通知されないことは幸運なことなのでしょうか。

一度も拒絶の理由が通知されないことに対しては、
「権利範囲を狭く書きすぎた」
「もっと権利範囲を広くできたはず」
「分割出願の機会が失われた」
などの意見があります。

なお、現在では、特許をすべき旨の査定(拒絶査定不服審判におけるものを除く)の謄本の送達があつた日から30日以内に分割出願が可能となり、一発特許査定になった場合でも分割出願を行う機会は確保されています。

つまりは、権利範囲が狭いということが懸念されるわけですが、一度も拒絶理由が通知されないことは果たして不幸なことなのでしょうか。

特許査定については、以下のような統計があります。
20170914
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

2007年ではファーストアクション件数が30万件程度であるのに対し、特許査定件数は14万件程度でした。

2016年ではファーストアクション件数が24万件程度であるのに対し、特許査定件数は19万件程度でした。

年度を挟んだ案件を考慮していませんので、大ざっぱな数字ですが、特許査定の割合は2007年頃よりも2016年は明らかに増加しています。

この統計から、出願人は、特許出願前に関連する技術分野の特許調査を十分に行い、拒絶されにくく妥協はしたくないギリギリの権利範囲を設定して出願している傾向があると推測できます。

出願の権利範囲は事業戦略に合うように、すなわち特許権が取得できなかったら事業が成り立たないということが起こらないように、知財戦略として権利範囲の落とし所も考えて出願していると推測できます。

この傾向は、年々高まってきたのだと考えられます。つまり、事業戦略と知財戦略が合致するように、特許出願がされてきて現在に至るということです。

ファーストアクション件数には拒絶理由通知書(これがほとんどだと思いますが)が含まれていますので、一発特許査定の割合は不明ですが、出願人は拒絶の対応をしたとしても取りたい特許を取りにいっていると言えます。

一発特許査定の場合は権利範囲を減縮補正しなくて済むため、出願時に狙った権利範囲を確保できます。

他方、拒絶理由の通知に対応するということは、補正によって権利範囲を狭くするか、意見書で拒絶の理由を有しない旨の反論をするか、いずれにしても出願人は応答期限までに対応を迫られます。

補正せざるを得ない場合、代理人費用を掛けて、権利範囲を狭くするわけです。意見書で反論する場合も代理人費用が掛かります。(特許庁への支払いは不要です。)

ということで、個人的には、一発特許査定は、事業戦略と知財戦略が合致している場合、出願時に狙った権利範囲をいじることなく、費用も時間も掛けることなく、早期に権利化できるということで、幸運なことだと考えます。

「一発特許査定になったから権利範囲が狭かった」と考えるよりも、「一発特許査定になって狙った権利範囲の特許権を取得できた」と考えるほうが、心のストレスは小さく済むのではと思います。

自分としては、一発特許査定は拒絶理由に対する反論機会がないので弁理士の仕事としては物足りないですが、狙った権利範囲の特許権を一発で取得できたことは良かったことだと思うようにしています。

その一方で、審査請求をした場合に一発拒絶査定というものは無いわけで、拒絶理由の通知があった場合でも、事業戦略と知財戦略に合致した権利範囲の特許を取得できるように対応する機会は必ずあります。

但し、拒絶査定が通知される前に最後の拒絶理由が通知されるか否かは審査官の判断に委ねられており、法律上も運用上も必ず「最後の拒絶理由通知」が通知されると決まっているわけではありません。

結局のところ、事業戦略と知財戦略が合致している場合、一発特許査定は追加の費用も時間も掛からずに狙った権利範囲の特許権を取得できるということで幸運なことだと思います。拒絶理由通知書を受け取ったとしても、落とし所の権利範囲を取得できる機会があるわけですから、不幸なことではないと考えます。


家紋からなる商標登録出願の取扱い

特許庁が「家紋からなる商標登録出願の取扱い」を商標審査便覧に追加しました。

(参考)
特許庁ウェブサイト
42.107 第4条第1項第7号 42.107.06 家紋からなる商標登録出願の取扱い
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/syouhyoubin/42_107_06.pdf

家紋の商標については、特許庁は伝統的な家紋(戦国時代の武家の家紋、神紋、社紋、寺紋、宗紋等2)を対象に審査する、とのことです。
(2 神紋、社紋、寺紋及び宗紋は、通常は家紋とは異なるものとして定義されているが、本取扱いでは便宜上家紋の一種として取り扱う)

理由は、結論だけ引用しますと、「伝統的な家紋と関係ない第三者が商標登録を受け、独占的に使用することは社会公共の利益に反し、社会の一般道徳観念に反するため適当ではない。」とのことです。

ウィキペディアによると、戦国時代は15世紀末から16世紀末にかけて戦乱が頻発した時代区分とのことです。また、家紋は平安時代(794年から1192年頃)から公家によって使われ始めたとあり、戦国時代前から使われている家紋もあるようです。

戦国時代を除いた時代の家紋等はどういう取扱いになるのでしょうか。これまで通り、識別力さえあれば第三者が商標登録を受けて独占的に使用しても構わない、となるのでしょうか。

伝統的な家紋等の線引きが非常に難しいのではないかと思いました。


商標は出願してから何日で登録可能か

商標は、特許とは異なり、出願後に審査請求しなくても順次審査されていきます。

特許庁からは、審査の順番が定期的に発表されています。

(参考)
特許庁ウェブサイト
商標登録出願に関する審査着手予定等
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/cyakusyu.htm

例えば、指定商品が食品に関する出願の場合、平成29年1月に出願されたものは、平成29年7月に着手予定となります。

大まかに、出願してから約6ヶ月で審査されると示されています。

実際には、下記の表にありますように、出願から審査官による審査結果の最初の通知が発送されるまでの期間は、年平均で4~5ヶ月程度となっております。
20170808_1
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

統計によりますと、最初の通知が登録査定の通知の場合、出願から4~5ヶ月で登録可能となっています。

一方、最初の通知が拒絶理由通知書の場合、特許庁に手続補正書や意見書を提出する等の対応を行うため、登録までさらに2ヶ月前後の時間が掛かります。

発表されている統計は年平均ですので、出願から最初の通知まで3ヶ月程度の場合もあります。登録までの期間は案件毎に異なるため、実際に処理してみないとわかりません。

ところで、他人が自己の未出願の商標を使用している場合、他人の行為を中止させることができません。

このような場合、自己の商標の早期権利化が望ましいわけですが、特許庁では商標登録出願について一定条件を満たす場合は早期審査を実施しています。

(参考)
特許庁ウェブサイト
商標早期審査・早期審理の概要
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/shkouhou.htm

2016年では、2210件の早期審査の申出があり、申出から審査官による審査結果の最初の通知が発送されるまでの期間は平均で1.8ヶ月でした。
20170808_2
(出典:特許行政年次報告書2017年版〈統計・資料編〉)

早期審査の申出により、商標登録出願の審査期間はさらに短くなります。早期審査は条件をクリアする必要がありますが、早期権利化の有効な手段です。

なお、早期審査は出願済みの商標についても対象になっていますが、近年認められた新しいタイプの商標(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標) については早期審査の対象外です。


商標権の存続期間は何故10年なのか

商標法では、商標権の存続期間は、設定の登録の日から10年を持って終了する、と規定されています。

日本ではこれが基本です。

まず、商標権の存続期間は、特許権、実用新案権、意匠権の存続期間との本質的な意味の違いがあります。

簡単に言うと、特許権等については、権利者の独占期間と技術等の解放時期とのバランスを取っている、ということです。

一方、商標権については、長年商標に蓄積された信用を保護するためにはそもそも存続期間を設定する必要がないけれど、使用されない商標が大量にあっても困るから、存続期間を10年に区切って、必要なら存続期間を何回でも更新できる、ということです。

法律の解説では、「10年」という数字の意味までは明確にされていません。

半永久使用を想定すると、一人の人間の経済活動期間は数十年ですが、企業の経済活動期間は(可能であれば)永久に存続することを考えると、「10年」の区切りは妥当なようにも思えます。

法制定時、商品・サービスのライフサイクルも10年単位で変化していたのかもしれません。

従いまして、何故10年なのかと問うてみたものの、結論としては制度がそうなっているから、としか言えなくてすみません。

なお、日本が加盟している商標の国際条約(マドリッド協定議定書や商標法条約)でも商標の存続期間は10年となっています。

さて、長らく存続期間は「10年」でしたが、平成8年から登録料を前半5年分と後半5年分とに分割納付することが可能になりました。

商標権の設定の登録時に、登録料の前半5年分を支払うと、5年後に登録料の後半分の支払いすなわち商標権を更新するか否かを選択できるようになったのです。

この制度は、短ライフサイクル製品について商標権維持の要否を権利者にチェックさせたり、登録料を安くしたりするために導入されました。

登録料が安くなるのは、前半5年分だけ商標権を維持して後半5年分は登録料を納付しない場合ですので注意が必要です。

10年分の登録料の一括納付は、「28,200円×区分数」ですが、分割の分納額は5年分が「区分数×16,400円」です。

分割納付は10年分を支払うと一括納付よりも割高ですが、最初の5年分を支払って更新しないとするならば割安です。

ですので、5年毎の権利維持の選択権を買うか、最初から10年分を一括納付するかの選択が可能になっています。

ところで、特許庁には、中小企業から登録商標を1年毎に更新できるようにして欲しいという要望もあるようです。

「1年」という期間は半永久使用を可能とする商標制度では非常に短い期間です。

ここからは個人的な考察ですが、このような要望は、対象が超短期ライフサイクル製品であることと、商標権維持のコストを安くしたいということだと思いますが、超短期ライフサイクル製品についてはそもそも特許権等も含めて権利化が必須とは思いません。

例えばペーパークラフトのような製品の場合、毎年新しいデザインやネーミング等で売られ、季節モノもあり、そもそも権利化が間に合わない。模倣の被害もあるようですが、短期間で次の製品が発売されるため、いたちごっこが続くようです。

このような超短期ライフサイクル製品について、1年間、商標を維持する意味を考えたとき、権利消滅後に商標権の存続期間における損害賠償を請求することくらいです。しかも、非常に短期間の売り上げに対しての損害賠償請求です。費用対効果を考えると、割高になるかもしれません。

しかも、現在の分割納付でさえ一括納付よりも割高です。1年更新という制度が導入されたら、1年毎の更新料は現在の分割納付に対しても非常に割高に設定されるのではないでしょうか。

権利者も特許庁も手続き処理が増え、両者ともコストが上がり、全員が疲弊します。

1年更新の願望を特許庁に訴えるよりも、現在の商標制度は10年単位あるいは5年単位で更新を認めていますので、これらの更新期間を上手く利用してビジネスするほうが得策です。


色彩のみからなる商標の登録、始まる。(続き)

「色彩のみからなる商標の登録、始まる。」の続きです。

様々な出願の中から業種毎にピックアップして紹介しています。

今回は、小売系の会社です。

イオン株式会社
20170519_イオン_商願2015-029878商願2015-029878
この色を見るとイオンが想像できます。相当浸透しているのでは。
他に2件出願しています。

株式会社カインズ
20170519_カインズ_商願2015-029909商願2015-029909

アスクル株式会社
20170519_アスクル_商願2015-030159商願2015-030159
色は、青色(プロセスカラーの組合せ:C100%,M80%,Y0%,K0%)のみからなるもの、です。

ロイヤルホームセンター株式会社
20170519_ロイヤルホームセンター_商願2015-036575商願2015-036575

京都錦市場商店街振興組合
20170519_京都錦市場_商願2015-038054商願2015-038054
錦市場のラインがこの3色の繰り返しで表現されているようです。

株式会社良品計画
20170519_良品計画_商願2015-043554商願2015-043554

株式会社ローソン
20170519_ローソン_商願2015-059866商願2015-059866
看板の色ですね。他に2件出願しています。

株式会社ビームス
20170519_株式会社ビームス_商願2015-054378商願2015-054378
オレンジといえばビームス、というのは浸透しているのではないでしょうか。

株式会社ドンキホーテホールディングス
20170519_ドンキホーテ_商願2015-065316商願2015-065316
おなじみの黒黄の縞模様です。

株式会社ピーチ・ジョン
20170519_ピーチ・ジョン_商願2015-096336商願2015-096336

各店舗は、それぞれ出願されているような象徴的な色で構成されていることが多いかと思います。

色の商標の出願はその他にも多々あります。もし余力があれば(汗)、他の業種についてもまとめてみたいと思います。


色彩のみからなる商標の登録、始まる。

平成27年(2015年)4月1日から出願が可能になった「色彩のみからなる商標」が、先月初めて登録されたとニュースになりました。

これまでに427件(平成29年4月20日現在)が出願され、2件が登録されました。

商標は、出願後、概ね半年ほどで判断結果が出ますが、色彩のみからなる商標の判断には2年掛かっています。

一つは、平成29年3月10日に登録された株式会社トンボ鉛筆の商標です。
20170420_トンボ鉛筆_登録5930334登録5930334

もう一つは、平成29年3月17日に登録された株式会社セブン-イレブン・ジャパンの商標です。
20170420_セブン-イレブン・ジャパン_登録5933289登録5933289

これらの各出願の「商標の詳細な説明」には、色彩の組合せや配色が数値等で事細かく記載されています。訴訟に発展した際には、商標の類似はどのように判断されるのか、気になるところです。

さて、商標登録の判断は特許庁にお任せするとして、出願人がどのような色彩、色彩の組み合わせ、配色に識別力があると考えて出願しているのか、非常に興味深いところです。

そこで、どんな会社がどんな色を商標として出願しているのか調べてみました。

まず、製薬系の会社です。

久光製薬株式会社
20170420_久光製薬_商願2015-029831商願2015-029831
これは「サロンパス」の色ですね。
久光製薬は、新しいタイプの商標として音商標(登録5804299)も取得しています。

大幸薬品株式会社
20170420_大幸薬品_商願2015-029858商願2015-029858
「正露丸」の色でしょうか。
他に1件出願しています。

ユースキン製薬株式会社
20170420_ユースキン製薬_商願2015-029985商願2015-029985
「ユースキン」の色でしょう。
他に4件出願しています。

株式会社コクミン
20170420_コクミン_商願2015-030024商願2015-030024
ドラッグストアの色です。
第35類を指定し、小売等役務商標として出願しています。

大塚製薬株式会社
20170420_大塚製薬_商願2015-030115商願2015-030115
商品「ポカリスエット」の色かと思います。
他に1件出願しています。

株式会社大塚製薬工場
20170420_大塚製薬工場_商願2015-03028商願2015-03028
これは「オロナインH軟膏」の色ですね。
他に2件出願しています。

大鵬薬品工業株式会社
20170420_大鵬薬品_商願2015-035615商願2015-035615
これは「ソルマック」の色かと思います。
他に1件出願しています。

全薬工業株式会社
20170420_全薬工業_商願2015-040785商願2015-040785
これは「ジキニンC」という風邪薬のパッケージの色かと思います。
他に5件出願しています。

武田薬品工業株式会社
20170420_武田薬品_商願2015-040818商願2015-040818
これは「アリナミン」の薬剤や栄養ドリンクの色かと思います。
他に、非常によく似た色で1件出願しています。

興和株式会社
20170420_興和_商願2015-048327商願2015-048327
これは胃腸薬「キャベジン」の色ですね。
他に2件出願しています。

株式会社和漢薬研究所
20170420_和漢薬_商願2015-084760商願2015-084760
これは「松寿仙」という商品のパッケージに使われているそうです。

健栄製薬株式会社
20170420_健栄製薬_商願2015-122948商願2015-122948
これは「手ピカジェル」という商品のポンプ部分の色かと思います。
他に3件出願しています。

通常、医薬品は箱で売られており、色や配色で差別化を図っている場合が多いため、箱に使用されている色の商標が多く出願されているようです。

他の会社については次回ご紹介します。

(画像は全て特許情報プラットフォームより引用)


レゴランド開園!!

先日、’一足先に’レゴランドに行ってきました。金城ふ頭に、いつの間にこんなものが?!と驚きました。

金城ふ頭には、新しい立体駐車場が完成していました。
20170403_000

入口です。
20170403_001
入口の正面にはレゴランドホテルを建設中です。

園内には、小さな子どもと同じ目線の背丈のキャラクターがたくさん設置されています。
20170403_002

ミニランドは、なんだかんだで見入ってしまいます。
20170403_005
手前の建物はレゴで作られていますが、後ろの道路は伊勢湾岸道です。なんとも不思議な光景です。

アフロもいます。
20170403_004

園の広さは東京ディズニーランドやディズニーシー、USJの5分の1程度ですので、1日あれば充分回れます。

子どもは充分楽しめるテーマパークだと思いました。また行ってみたいと思います。


特許庁ってどんなところ

■何をするところ?
特許庁の大きな役割の一つは、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)を適切に付与することです。

その他、産業財産権施策の企画立案、国際的な制度調和と途上国協力の推進、産業財産権制度の見直し、中小企業・大学等に対する支援、産業財産権情報提供の拡充等を行っています。

■どこにある?
住所は「東京都千代田区霞が関3丁目4番3号」です。
最寄りの駅は東京メトロ銀座線の虎ノ門駅です。

■外観は?
こんな感じです!!
20170324jpo

■何人働いているの?
2016年の年次報告書によると、最新(平成28年度)の職員数は全体で2,804人です。審査官が一番多く、中でも特許・実用新案部門が一番です。
20170324transition


INPITのタイムスタンプ保管サービス

工業所有権情報・研修館(INPIT)は、経済産業省所管の独立行政法人であり、特許公報等の閲覧サービスを提供する機関です。

「INPIT」は「インピット」と読みます。

このINPITが、2017年3月からタイムスタンプ保管サービスを開始します。なお、このブログの公開日では、未だスタートしてないようです。

(参考)
INPITウェブサイト
タイムスタンプ保管サービスについて
http://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/ts.html
(別ウィンドウが開きます。)

まず、電子文書の日付を確保する手段としては、電子公証制度とタイムスタンプとがあります。

電子公証制度は、電子公証事務を行う公証人が電子文書の認証と日付情報の付与を行う制度であり、公証人のうち法務大臣によって特に指定された「指定公証人」で対応してくれます。

一方、タイムスタンプは、民間業者が電子文書に日付(時刻)を付すサービスです。時刻認証業務認定事業者(TSA)は、デジタル署名を使用する方式が5者、アーカイビング方式が1者、認定されています。

(参考)
タイムビジネス認定センターウェブサイト
認定事業者一覧
http://www.dekyo.or.jp/tb/list/index.html
(別ウィンドウが開きます。)

タイムスタンプ自体は既に知られたサービスです。

INPITはそのタイムスタンプのコピーを預かり、保管システムで預かった期間を証明する預入証明書をタイムスタンプに付けて、利用者の求めに応じて提供するという事業を行います。

タイムスタンプの発行サービス自体は上記の事業者によって有料ですが、INPITの保管サービスは無料です。

概要は以下のようになっているようです。
・利用時間は平日の8時~19時。
・保管期間は10年。延長も可能。
・保管中のタイムスタンプは何度でもダウンロード可能。
・タイムスタンプの検索可能
・タイムスタンプに関するメモを付けることができる
・複数のタイムスタンプをまとめて預け入れ可能
・アカウント間でタイムスタンプの移管が可能
など。

タイムスタンプの改ざん防止、長期間の安定的なバックアップ、係争時の「日付」の立証負担の軽減などが期待できるということです。

(3/24追記)
3月27日からログイン・アカウント作成が可能になることが発表されました。
経済産業省ウェブサイト
「タイムスタンプ保管サービス」の提供を開始します~電子文書の存在証明の「鍵」をお預かりします~
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170324001/20170324001.html
(別ウィンドウが開きます。)

ログイン・アカウント作成ページ
https://www.tss.inpit.go.jp/web/tssa01/sctssz990101
注;3月27日からアクセス可能になります。
(別ウィンドウが開きます。)


登録証

特許権、実用新案権、意匠権、商標権の設定の登録があったときは、特許庁から登録証(特許の場合は特許証)が送られてきます。

(参考)
特許庁ウェブサイト
特許証の見本
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/pdf/genbo_mihon/tourokusyou_p.pdf
(別ウィンドウが開きます)

賞状のような1枚の書面です。

菊の紋から始まり、「特許証」と書かれ、登録番号、発明の名称、特許権者、発明者、出願番号、出願日、登録日が記され、最後に特許庁長官の名前が記載されています。

登録証に記載される内容は、実用新案、意匠、商標によって多少異なります。

この書面が権利の効力を示すわけではありません。

つまり、登録証がなければ権利者であることを主張することができない、というわけではありません。

当然、特許証を譲渡したからといって、特許権を譲渡したことにもなりません。

登録証の交付は、半ば歴史的なものであり、半ば名誉を表示するためのものに過ぎないです。

しかし、登録証をビジネスにどう生かすかは別問題です。使い方によっては、大きなお金が動くことある・・・かもしれません。

ちなみに、「特許証を汚した!!」「特許証を無くした!!」という事態になっても、再交付してもらえます。

特許の場合、特許庁に「特許証再交付請求書」を提出します。

ただし、印紙代4,600円が掛かりますのでご注意下さい。

(参考)
特許庁ウェブサイト
登録の実務Q&A No.18
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/jitumu_qa.htm#anchor1q18
(別ウィンドウが開きます)


商標権の取得前にできること

ピコ太郎さんの「PPAP」が他人によって商標登録出願されたというニュースが盛んに流れています。

なので、今更ながら、他人が出願できるのか、登録されるのか、といった内容は他の方の解説に任せ、ここでは別のことに食いついてみようと思います。

その別のこととは、出願人が音楽会社に「警告を行った」という点です。

そもそも論ですが、権利を持っていない状態で警告ができるのか??

警告自体はどうぞご自由に気の済むまで、限度を越えたら返り討ちにされるかもしれませんが、といったところです。何に基づいて警告を発するかはその人の自由です。

では、産業財産権の世界では、「警告」とは何でしょうか。

特許法や商標法では「警告」という言葉が登場する制度があります。

その制度が「金銭的請求権」(特許の場合は「補償金請求権」)です。

商標の世界では、出願から権利取得までの間に商標に化体した業務上の信用が害されたら出願人の業務上の信用を補塡するために金銭的請求権を認めています。

特許の世界では、出願後1年半経過すると発明の内容が公開され、誰でも実施可能になるので、第三者に自分の発明を実施された場合に出願人の損失を塡補するために補償金請求権を認めましょう、というわけです。

出願人は、未だ権利を取得していない状態でも上記の制度を利用して第三者に「警告」することができます。

そして、一定の要件を満たせば、相手方から金銭の支払いを受けることができます。ただし、金銭的請求権は商標の設定登録後に請求可能ですので、商標権を取得できなかった場合はもちろん請求はできません。

「一定の要件を満たせば」とありますが、ここ大事です。テストに出ます(笑)。

商標の金銭的請求権が認められるためには、大まかに次の要件を満たす必要があります。
(1)出願後、出願の内容を記載した書面を提示して警告をしたこと
(2)警告を受けた者が警告後商標権の設定登録の前に指定商品等について商標を使用したこと
(3)警告を受けた者の商標の使用により出願人に業務上の損失が発生したこと

「PPAP」の件では、(3)の「業務上の損失」が発生していないことが明らかですので、仮に出願人が「PPAP」について商標権を取得したとしても、金銭的請求権は発生しないでしょう。

なので、金銭的請求権の要件の観点からは、出願人の行動は意味がない、と見えます。まあ、出願人本人は金銭を受け取る算段を何か考えているのでしょうけど。

ということで、出願人が権利取得までの間に損失が発生する事態が生じても、泣き寝入りせずにその損失を取り戻せる制度が備わっていますよ、ということです。

逆に、警告を受けたとしても、その警告が正当なものであるのかをしっかり精査すれば怖くないですよ、ということです。

制度としては、正当な権利あっての「警告」です。

(参考その1)
商願2016-108551(出願日2016/10/05) 出願人:ベストライセンス株式会社
商願2016-112676(出願日2016/10/14) 出願人:エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社
商願2016-128344(出願日2016/11/15) 出願人:ベストライセンス株式会社
商願2016-134012(出願日2016/11/28)出願人:ベストライセンス株式会社

(参考その2)
自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)
特許庁ウェブサイト
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm